旧 清泉拝中 Old School Band
グレコ・レスポール (1988年製)
当時、中学生の憧れは「グレコ・ギター」
神田商会とグレコ
「Greco(グレコ)」は、1960年に日本で設立されたギター/ベースブランドで、楽器総合商社の「神田商会」が保有する独自ブランドとして立ち上がりました。
神田商会は、国内生産の高品質なコピーモデルやオリジナルモデルで一時代を築き、現在でもゼマイティスのライセンス生産等で品質の高い製品を販売しています。
神田商会は、独自ブランド「グレコ」の製品を展開するため1973年に楽器メーカー「ダイナ楽器」を立ち上げ、ギターの自社生産体制を構築しました。
レスポールタイプ「EGシリーズ」
「グレコのレスポール」は安価でありながら、ギブソン社製の「真のレスポール」に迫る品質を持ってブランド「グレコ」の看板名機となります。
1970年代のレスポールのコピーモデルでは、トーカイ社製のLSシリーズがありましたが、そのライバル商品として競い合った結果、より低価格の良品として人気を集め、米国ギブソン社の売り上げを脅かすまでになってしまいました。
1980年、米国ギブソン社より「偽造品製造をしている」と提訴されて生産が縮小、生産終了となりました。
EGシリーズが誕生した1970年の音楽世相は「日本語ロック論争」と称し、ロックを英語で歌うべきか日本語で歌うべきか今では陳腐な話が、真剣に議論されるほど、ロックは若者の身近に迫ってました。
グループサウンズを解散して結成されたロック・バンド「PYG」は観客から罵声を浴びされ、他方で日本ロックバンドとして「フラワー・トラベリング・バンド」「外道」「頭脳警察」「紫」「四人囃子」「サディスティク・ミカ・バンド」等が台頭し注目を浴びます。
ただ一つ補足をしますと沢田研二・萩原健一・大野雄二・岸部修三・井上堯之らをメンバーとした「PYG」が、実は日本ロック史上に多大な貢献をしたとして、後に再評価されるようになります。
この頃、開発されたレスポールのコピー「EG-360」は、「本物が入手できないため、写真から寸法を起こして製作した」もので、名ギターリストの成毛滋がアドバイサーとして参加し彼自身、特別製のEG-360を愛用し活躍しました。
またレッド・ツェッペリン来日の際は、ジミー・ペイジが使用したとも伝わっています。
B'zの松本孝弘やザ・クロマニヨンズの真島昌利氏が初めて買ったエレキギターは、グレコのレスポールだったとのことです。
私もご多分に漏れず30歳を過ぎて初めて購入したエレキギターは「グレコのレスポール」で、このレスポール型ギターを購入したのは、やはりジミー・ペイジからの影響でした。
●昭和63年(1988年)にJR中央線お茶の水駅前の下倉楽器店にてギター・アンプと合わせて3万円で購入、現在(2021年)31年経過
●シリアル番号無し、シリアル番号無しのモデルは、韓国CORT社製の可能性が高い
●セットネツク
●ミント・コレクション末期の韓国CORT社製のグレコEGC-68-50若しくはEGC500?
●その当時、定価5万円、実売価格2万5千円で販売されており、当時JR中央線お茶の水駅前の下倉楽器店でグレコ製の自宅練習用ギター・アンプと合わせて購入、合計3万円の支払いと記憶しているので、概ね話が合う
●ミンコレの特徴はロッドカバーが富士山型(角ばった台形)で、韓国製は一般的なカタチとの事、しかし本体のロッドカバーは「富士山型」であることから経緯が不明、このロッドカバーの取り付けも当時は仕様が混在していたとのことで、機種見分けの決め手にならない
●指板は、樹脂の「エボノール」を使用、エボノールは黒くて木目が無い、エボニーを似せて製作したが間もなくして姿を消す。この仕様は韓国製との見方が強い
●ミンコレ特徴の「O切れ」ではあるが、本体は「Greco」の「G」字体が太い(韓国製?)
●ナットも安っぽい。(本機は2021年牛骨に交換)
●ペグがネジ無しタイプのものは、連携して指板がエボノールの可能性が大で、さらにシリアル番号が無いものも韓国製の特徴
●「Grecoロゴのペグ」は、ペグの裏に凸がありヘッド側の凹に合わせ固定される仕組みでネジどめではない
●レギュラー・モデルのミントコレクションシリーズのPUは「SCREAMIN」であり、この本体の純正PUはリード線の被覆が赤と緑の安価なもの
●本体は、通常のミンコレ期のモデルと比較して、かなりコストダウンされている
したがって結論、本体は「O切れ」グレコ、「ベル型のトラスロッドカバー」を富士山型に交換、指板は樹脂のエボノールであることから韓国CORT社製と認められる
●某オークションにおいて、エボノール指板のモデルは避けられる傾向にあり落札価格はかなり低いが先般、池袋イシバシ楽器店が4万4000円(ハードケース付)で販売していた。
他方でレア度が高く?、愛好者向きとも考えられる。
〇 1988年(昭和63年)=韓国CORT社製 EGC-68-50 定価5万円(実売価格2万5千円)、本機は2006年=リアPUを交換、2021年=フロント&リアPU交換 フレットの擦り合わせナットを牛骨に交換 スイッチ類交換
写真は、中野サンプラザのスタジオにおけるリハーサル風景、1994年頃撮影と思われる。(右は、キーボード担当のカオル・フセ)
※今回のリペアにご尽力頂きました「山本さん」に心より感謝申し上げます。ありがとうございました。